―1億円の不動産融資で、大よそ9千万円の資金利益(儲け)を生む構造―
平均預金残高と平均融資残高を算出し、行員はそれをチェックしています。銀行は、平均融資残高とともに平均預金残高を重視します。それは平均預金残高が大きい程、実質金利が高くなり、それだけ銀行は利益〔儲け〕が上るからです。
銀行の利益は、銀行融資が収益の柱です。内容は、資金利益と業務純益です。
- 資金利益
- 資金利益とは、融資して儲かったお金から集めたコストを引いたものです。
損益計算書を分解した中で、その収益構造の表にある
資金利益:資金運用収益-資金調達費用です。
- 資金利益とは、融資して儲かったお金から集めたコストを引いたものです。
- 業務純益
- 業務純益は、銀行の本業の儲けを示す指標として使われます。
1.1億円の不動産融資(寄宿舎建設)で、大よそ9千万円の資金利益(儲け)を生む構造「寄宿舎」展開ビジネス(サブリース契約)
Aさんの例
- 千葉県在住
- 30代、3人家族
- 借入金:1億円〔土地・建物〕
- 金利:4.5%〔S地方銀行〕
- 借入期間 30年
- S・D社「寄宿舎」展開ビジネス(サブリース契約)
例えばAさんの平均融資残高が1億円で、融資金利が4.5%、平均預金残高が0円だったとしますと、Aさんは1億円を金利4.5%で借り入れていたことになります。すると銀行は、平均融資残高1億円、融資金利4.5%で計算された利息分を受け取っていたことになります。
まず、実質金利の計算式は次のとおりとなります。
- 実質金利=(融資額×融資利率-預金額×預金利率)÷(融資額-預金額)
預金金利を0.1%とすると、Aさんの実質金利は、
- (1億円×4.5%-0円×0.1%)÷(1億円-0円)=4.5%
と、融資金利と全く変わりません。
S地方銀行がAさんから受け取る融資利息は年間で1億円×4.5%=450万円/年です。銀行はAさんに1億円の融資を行って、年間で450万円の利息を稼ぐことになります。30年ローンとしますと、元金は年々減っていきますが、シミュレートすると。
S地方銀行は、1億円の融資で、大よそ9千万円の資金利益〔儲け〕をAさんから受け取ることになるのです。
無論元本支払い(1億円)は別です。
中には、借入金額3億円の事例も多数あり、そうすると、資金利益〔儲け〕としておおよそ2億7千万円となります。
2.平均預金残高が大きい程、実質金利が高くなる
一方、Bさんは平均融資残高1億円、融資金利4.5%、平均預金残高500万円だったとします。この時、Bさんの実質平均融資残高は、平均融資残高から平均預金残高を引いた9,500万円になります。
Bさんの実質金利を見てみますと
- (1億円×4.5%-500万円×0.1%)÷(1億円-500万円)=4.73%
となります。
つまり、平均預金残高500万円とすると。実質金利が 4.5%→4.73% と上ります。
このように、銀行は少しでも儲けて利益を出すために、平均融資残高とともに平均預金残高を高くするよう、注視しているのです。
3.銀行と言えども、「衡平の原則」が問われる!?
S地方銀行とある企業と協同で行っていると思われる「寄宿舎融資、金利4.5%事業モデル」の収益率はとても高いのですが、その事業の健全性・継続性の見極めと、地域社会への貢献のバランスを取ることが強く求められます。S地方銀行はビジネスモデル製造責任者として、また、業務拡大の一翼を担っていると思われるので、万が一、このモデル破綻時には「衡平の原則」等で、事業の結果責任を問われ可能性もあるのではないでしょうか。正にCSR(企業の社会的責任)の遵守が問いかけられると思います。
この融資金利4.5%は、ある地方銀行の融資金利です。この金利では利回り11%程度がなければ、アパート経営では実質利益はでないと言われています。東京都区内では、利回り5~6%以下が殆どです。つまり掘り出し物の物件は少ないと考えなければなりません。
ましてや、このようなアパート融資金利では、よほど立地が良くなければ経営は成り立ちません。
サブリース契約のスペシャリスト「サブリース建物取扱主任者」

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