地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(2)

―1億円の不動産融資で、大よそ9千万円の資金利益(儲け)を生む構造―

地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(1)概要画像

平均預金残高と平均融資残高を算出し、行員はそれをチェックしています。銀行は、平均融資残高とともに平均預金残高を重視します。それは平均預金残高が大きい程、実質金利が高くなり、それだけ銀行は利益〔儲け〕が上るからです。

銀行の利益は、銀行融資が収益の柱です。内容は、資金利益と業務純益です。

  1. 資金利益
    • 資金利益とは、融資して儲かったお金から集めたコストを引いたものです。
      損益計算書を分解した中で、その収益構造の表にある
      資金利益:資金運用収益-資金調達費用です。
  2. 業務純益
    • 業務純益は、銀行の本業の儲けを示す指標として使われます。

1.1億円の不動産融資(寄宿舎建設)で、大よそ9千万円の資金利益(儲け)を生む構造「寄宿舎」展開ビジネス(サブリース契約)

Aさんの例

  • 千葉県在住
  • 30代、3人家族
  • 借入金:1億円〔土地・建物〕
  • 金利:4.5%〔S地方銀行〕
  • 借入期間 30年
  • S・D社「寄宿舎」展開ビジネス(サブリース契約)

例えばAさんの平均融資残高が1億円で、融資金利が4.5%、平均預金残高が0円だったとしますと、Aさんは1億円を金利4.5%で借り入れていたことになります。すると銀行は、平均融資残高1億円、融資金利4.5%で計算された利息分を受け取っていたことになります。

まず、実質金利の計算式は次のとおりとなります。

  • 実質金利=(融資額×融資利率-預金額×預金利率)÷(融資額-預金額)

預金金利を0.1%とすると、Aさんの実質金利は、

  • (1億円×4.5%-0円×0.1%)÷(1億円-0円)=4.5%

と、融資金利と全く変わりません。

S地方銀行がAさんから受け取る融資利息は年間で1億円×4.5%=450万円/年です。銀行はAさんに1億円の融資を行って、年間で450万円の利息を稼ぐことになります。30年ローンとしますと、元金は年々減っていきますが、シミュレートすると。

S地方銀行は、1億円の融資で、大よそ9千万円の資金利益〔儲け〕をAさんから受け取ることになるのです。

無論元本支払い(1億円)は別です。

中には、借入金額3億円の事例も多数あり、そうすると、資金利益〔儲け〕としておおよそ2億7千万円となります。

2.平均預金残高が大きい程、実質金利が高くなる

一方、Bさんは平均融資残高1億円、融資金利4.5%、平均預金残高500万円だったとします。この時、Bさんの実質平均融資残高は、平均融資残高から平均預金残高を引いた9,500万円になります。

Bさんの実質金利を見てみますと

  • (1億円×4.5%-500万円×0.1%)÷(1億円-500万円)=4.73%

となります。

つまり、平均預金残高500万円とすると。実質金利が 4.5%→4.73% と上ります。

このように、銀行は少しでも儲けて利益を出すために、平均融資残高とともに平均預金残高を高くするよう、注視しているのです。

3.銀行と言えども、「衡平の原則」が問われる!?

S地方銀行とある企業と協同で行っていると思われる「寄宿舎融資、金利4.5%事業モデル」の収益率はとても高いのですが、その事業の健全性・継続性の見極めと、地域社会への貢献のバランスを取ることが強く求められます。S地方銀行はビジネスモデル製造責任者として、また、業務拡大の一翼を担っていると思われるので、万が一、このモデル破綻時には「衡平の原則」等で、事業の結果責任を問われ可能性もあるのではないでしょうか。正にCSR(企業の社会的責任)の遵守が問いかけられると思います。

この融資金利4.5%は、ある地方銀行の融資金利です。この金利では利回り11%程度がなければ、アパート経営では実質利益はでないと言われています。東京都区内では、利回り5~6%以下が殆どです。つまり掘り出し物の物件は少ないと考えなければなりません。

ましてや、このようなアパート融資金利では、よほど立地が良くなければ経営は成り立ちません。

これからのサブリースの形 連載コンテンツ

「レオパレス21問題」で浮き彫り!サブリース問題の発端とリスク(1)概要画像
「レオパレス21問題」で浮き彫り!サブリース問題の発端とリスク(1)
サブリース契約において大幅な賃料減額や突然の解約を突きつけられるトラブルが相次いだことから、たとえ30年一括借上げの契約を結んでも将来リスクを抑制できないという、サブリース契約の「落とし穴」が浮き彫りになった。
「レオパレス21問題」で浮き彫り!サブリース問題の発端とリスク(1)概要画像
「レオパレス21問題」で浮き彫り!サブリース問題の発端とリスク(2)
サブリース契約の場合、賃借人はサブリース業者で賃貸人はアパートオーナーとなるため、レオパレス21が強気な交渉を行なえる。こういったことからも長期的に安心してアパート経営に取り組める法規制の整備が喫緊の課題である。
地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(1)概要画像
地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(2)
「寄宿舎融資、金利4.5%事業モデル」の収益率はとても高いが、このモデル破綻時には「衡平の原則」等で、事業の結果責任を問われ可能性もあります。正にCSRの遵守が問いかけられると思います。
豊島区条例・空き家をシェアハウスに概要画像
豊島区条例・空き家をシェアハウスに
豊島区は空き家対策として、一定の条件をかせる事により建築基準法の用途変更をせずシェアハウスとして使用出来るようにする方針で、この方式は、他の区にも広がると思われます。
地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(1)概要画像
地方銀行とCSR(企業の社会的責任)(1)
サブリース絡みの融資について、守るべき銀行のモラルや戦略性の欠如があり、悪影響を及ぼしている地域金融機関が存在しているのが事実です。そこで重要となるのが、戦略的な視点を持ったCSRです。
サブリースのメリット・デメリット概要画像
サブリースのメリット・デメリット<自主管理の場合>
アパート経営も最初から成功が約束されているわけではなくリスクはあります。そこで、アパート経営で大事なパートナーの管理会社と第三者オピニオンの活用について考えて見ましょう。
サブリース『建設受注・管理一体型』企業概要画像
サブリース『建設受注・管理一体型』企業は、そもそも一体不可分
サブリース建設受注・管理一体型企業では、粗利の一部を引当金として計上して家賃減額の備えにすることが責任ではないでしょうか。
不動産投資の税務は複雑で間違いが多い!?概要画像
<投資マンション購入>不動産投資の税務は複雑で間違いが多い!?
不動産投資による節税効果は「現金での物件購入が条件」など特定の条件下で期待できるものです。また、不動産の税務に精通した税理士に依頼することも重要です。